文化遺産オンライン

髪〈小林古径筆/絹本著色〉

作品概要

髪〈小林古径筆/絹本著色〉

絵画 / 昭和以降 / 九州

小林古径

昭和

1面

重文指定年月日:20020626
国宝指定年月日:
登録年月日:

公益財団法人永青文庫

国宝・重要文化財(美術品)

 画面向かって左に向いて坐し髪を梳る姉妹らしき二人の女性を描いている。髪を梳らせる女性は上半身裸体で、下半身を薄緑色の湯巻で足先まで包んで正座する。正面やや下方を見つめ、背筋を伸ばし、両手は肘を浮かせて腹前に交差し、右手先は左腿の上に当て、左手先は右膝の上辺に届く。この女性の後ろに膝立ちして梳る妹らしき女性は縦縞の着物を着、左手で裸体の女性の豊かな髪を抱えるように支え、右手に持った櫛を当てている。うなじ辺りで断髪し、真剣な眼差しで櫛先を見つめている。着物は絣らしく、紺の縞の間を白と薄紅色および薄黄色とする。帯は朱地に浅葱と白の十字紋を入れた絣としている。左肩から後方は画面からはずれる。
 二女性は対照的に表現されている。裸体の女性は鉄線描により必要最小限の線描で表され、唇と乳に朱具をさすほかはほとんど色を用いない。しかし、長く豊かな髪は具墨を用いて量感を出し、生え際や髪筋に繊細な毛書きを見せている。また、線描は肥痩がなく、抑制された無機的な線であるが、墨色の濃淡によって立体感や質感、形態のアクセント等を工夫している。他方、断髪の女性は着物や帯に濃彩を施し、頬にも朱を暈かし、唇も赤みをやや強くしている。これによって、両者の年齢差を示し、造形的な対照を形成している。
 背景は全く描かないが、薄墨のほか微妙な色付けによって裸体の白さを強調している。
 小林古径(一八八三-一九五七)は、横山大観・下村観山・菱田春草らが築いた日本美術院を引き継ぐ、再興日本美術院の有力画家で、安田靫彦・今村紫紅・前田青邨・速水御舟といった画家たちと同世代に属す、近代…

髪〈小林古径筆/絹本著色〉をもっと見る

小林古径をもっと見る

国指定文化財等データベース(文化庁)をもっと見る

キーワード

/ 右手 / 左手 /

関連作品

チェックした関連作品の検索