刺繍釈迦如来説法図
ししゅうしゃかにょらいせっぽうず
概要
刺繍釈迦如来説法図
ししゅうしゃかにょらいせっぽうず
奈良県
奈良
宝樹天蓋の下に、獅子座に座って説法する赤衣偏袒右肩の釈迦を大きく中央に配し、上部には飛鳥にまたがり空をかける神仙の群れ、雲上で楽奏する天人らを、また中辺から下部にかけては菩薩形、聴聞の十大弟子などを刺繡で表す。
下地に淡黄色厚手平絹に、赤、茶、緑、藍の各濃淡色、緑、白、黄、紫など十数色の撚糸を用い、相楽繡、鎖繡の二種の技法で刺繡される。相楽繡は螺髪、後屏框内の文様と透かし、瓔珞、菩薩、天人の天冠、水甁、胸飾、釧の類、天女の鉢などで、他は鎖繡による。現状は額装にして観音開の扉が付けられているが、扉裏墨書により、寛永12(1635)年に現在の体裁になされたことが分かる。
縦207.5 横158.2 (㎝)
1面
奈良国立博物館 奈良県奈良市登大路町50
重文指定年月日:19020417
国宝指定年月日:19521122
登録年月日:
独立行政法人国立文化財機構
国宝・重要文化財(美術品)
元は京都勧修寺に伝えられたもので、「勧修寺繡帳」の名で知られる。
飛鳥・奈良時代における繡仏造顕はかなり盛んであったことがうかがえるものの、その遺例は少ない。本繡帳は、二種の繡技で糸の配色、太細などを変え、変化に富んだ細やかで立体感を出した表現をした大作である。天寿国繡帳と共に、古代刺繡の双璧である。