下長磯の式三番
しもながいそのしきさんばん
概要
この芸能は、群馬県前橋市下長磯町の稲荷神社の祭のおり(四月十五日)に行なわれ、能の式三番の様式を人形によって表現するものである。
通称「三番あやつり」などとも呼ばれ、本流となる舞台芸能である能の翁芸が地方民間化したもの、特にそれが人形化したものである点、芸能史的にもきわめて貴重なものである。
人形は二人遣いで演じられ、まず千歳(千代)が面箱を捧げて登場し、次いで翁が白尉面をつけて舞い(「ひげそりの舞」とも)、続いて三番叟が舞う(「三番舞」とも)。
三番叟の舞には、引足・なめ足・袖ふり・蛙またなど、その舞型が細かく踏襲されており、「揉みの段」「鈴の段」あるいは「種卸」などの所作には、素朴ながら妙味のある演技法が伝わっている。
また、謡・囃子も形式は能に習っており、人形の式三番として地方的にも特色あるものである。
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