金銅宝塔鈴
こんどうほうとうれい
概要
相輪(そうりん)の大きい円形の宝塔(ほうとう)をいただいた宝塔鈴である。鈴身(れいしん)は細みで丈が高く、裾広がりの口縁に立ち上がりを作っている。把(つか)は中央に横長で平面的な鬼目(きもく)を表す。蓮弁帯は間弁付きの八葉弁で輪郭を刻み、素文の二線で約している。蓮弁の細工は線刻が主で、そのため立体感は乏しい。宝塔の塔身は上部を伏鉢(ふくばち)形とした円筒形で、屋根は円形で上面に反りとむくりを表している。相輪は七つの輪を表し、頂上に宝珠をのせている。宝塔鈴における塔の形式は、平安後期から鎌倉時代では塔身、屋根とも円形とする例が多く、鎌倉時代後期から室町時代になると屋根を方形とする形式が目立つ傾向がある。本品は作風より室町時代の作と推定されるが宝塔の形式は古様であり、またこの時代の金剛鈴(こんごうれい)としては鈴身と把を一鋳(いっちゅう)とする点も珍しい。
古玩逍遥 服部和彦氏寄贈 仏教工芸. 奈良国立博物館, 2007, p.45, no.27.