高瀬遺跡
たかせいせき
概要
富山県西南部、八乙女山山麓に展開する砺波平野の複合扇状台地の水田中に発見された床張りの掘立柱建物の遺構を中心とする遺跡で、時代は出土品等からして平安初期と推定される。建物遺構は5間×4間の一辺10メートル前後のもの2棟が確認され、土師器[はじき]・須恵器杯片や木簡・大型杯蓋硯・浄瓶・漆器・曲物のほか多数の木製器具・瓦塔を出土した。建物周囲の打込み板列や雨落溝などからして、官衙風建物であったことはほぼ確実である。なお中心の建物群を囲むように堀が蛇行し、さらにこの地点より300メートル東に集落址が検出された。この建物群を東大寺の杵名蛭庄の荘家とは認定できなかったが、少なくとも当時の荘家の実態を多用的に考察しうる貴重な遺跡である。