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園城寺尺

おんじょうじしゃく

概要

園城寺尺

おんじょうじしゃく

歴史資料/書跡・典籍/古文書 / 室町 / 近畿

室町

2枚

重文指定年月日:19870606
国宝指定年月日:
登録年月日:

園城寺

国宝・重要文化財(美術品)

 近年の調査によって発見された中世に遡る尺2枚で、園城寺唐院に伝来したものである。
 園城寺は、寺伝では大友皇子の発願に基づき、その子与多磨が天武天皇15年(686)に建立したと伝えるが、実際は奈良時代末頃には当地の大友村主氏の氏寺であったと考えられている。貞観元年(859)に円珍が再興を図り、唐院を建てて唐より将来の聖教を収め道場とし、平安時代中期以降は天台宗寺門派の本山として発展したが、唐院も主要堂舎のある中院に位置し、伝法潅頂の道場として今日に至っている。
 唐院預竹計は長さ35.6センチで、いわゆる呉服尺の長さにほぼ近い。竹製で、表面の中央には×印を刻し、それより半寸ごとに目盛が陰刻され、下端の一部には半寸をさらに5等分した目盛が薄く彫られている。ただし、それぞれの目盛の間の長さは必ずしも均等ではない。裏面には「應永卅一年四月十九日、預香實領納竹計也、宗順」の刻銘があり、さらに宗順の下には花押が墨で書かれている。中世において竹計が絹・布類の計測に使用されていたことからすれば、この預竹計は潅頂<かんじょう>において下される絹・布類などを測るための実用尺と認められ、応永31年4月19日の通覚から長秀への潅頂の際に唐院預房香実房の宗順が受領したものと考えられる。
 唐院預尺も同じく竹製で、長さ36.9センチで、いわゆる鯨尺の長さにほぼ近い。表面の中央には「〓」印が彫られ、半寸ごとに目盛が陰刻されているが、目盛間の長さは必ずしも均一ではない。裏には「唐院預尺為後證寫之、准后<じゅごう>御初授、應永卅三年三月十五日」と墨書があり、満意から経意への潅頂において下される絹・布類の計測に用いられた尺の写と考えられるが、前項の尺よりは約1.3センチ長い。
 この2枚の尺は、中世の年紀を持つ現存唯一の尺として中世量制史研究上に貴重である。

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