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製茶図屏風

せいちゃずびょうぶ

概要

製茶図屏風

せいちゃずびょうぶ

江戸時代

1双

京都府

製茶の工程を詳しく描いた六曲一双屏風。
 右隻は茶摘み、蒸し、選別、乾燥、茶臼で碾く、試飲の工程が描かれ、左隻には茶壺に詰める工程および茶壺を運ぶ風景が描かれる。
 本作の筆者は不詳だが、一部に写し崩れのような描写が確認でき、先行作例の存在がうかがえる。山口県・東光寺には狩野探玄による同図様の屏風が所蔵されており、狩野派によって原型が作られ、同様の屏風が複数制作された可能性がある。なお、右隻の茶臼を碾く男は、室町時代に成立したと考えられる「酒飯論絵巻」に同様の形姿の男が確認できる。探玄の師・探幽は「酒飯論絵巻」のモチーフを転用した作例が複数指摘されており、確証はないが、製茶図屏風原本の制作に探幽が関与したことも考えられるだろう。
 製茶の工程を詳しく描く「製茶図」は、江戸時代に入って描かれるようになった。その背景には宇治茶ブランドの価値を高めようとする動きが背景にあると考えられ、本作は宇治茶の生産者、あるいは宇治茶の製茶工程を知りたい享受者たちの求めにより制作された一作例と位置付けられる。

参考文献:「特集 新茶を祝う‐製茶から口切の茶事まで‐」『淡交』 75 (10) 2021年。

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キーワード

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