製茶風俗図屏風
せいちゃふうぞくずびょうぶ
概要
江戸時代前期に伊予松山藩の御用絵師として活動した松本山雪の筆による、類例のほとんどない中国風俗の製茶図。向かって右隻から左隻にかけて、茶作りの一連の工程が展開していく。建物に見られる神経質なまでの描き込み、屈曲した樹木、卑俗な人物表現など、独特のアクの強い表現は、忘れがたい存在感を示しており、この絵師の個性と認識される。
山雪は、京狩野派に学んだと伝えられるが、履歴は不詳で、同時代の雲谷派や雪舟系絵師の作風に近接したところもある。山雪が仕えた藩主・松平定行は、文人的な中国趣味に通じた人物であったことがうかがわれ、中国的主題に拠った作品が多い山雪の独自性は、定行の趣味・思想が大いに反映されていると考えられる。