防空壕

日本画 

橋本関雪 (1883-1945)
ハシモト、カンセツ
昭和17年/1942
彩色・絹本・額(アクリル等)・1面
232.5×110.5
右上に落款、印章
5回新文展 東京府美術館 1942

29
防空壕
Airーraid Shelter
1942年
絹本彩色・額 232.5×110.5cm
1942年8月に関雪は吉川英治らと海軍報道部、朝日新聞社などの嘱託として、フィリピン、マレー、ビルマなどの南方に取材旅行に出たが、本作品はその時の体験により生まれた作品である。防空壕の中から、東南アジアおそらくインドネシアあたりの女性が今しも出て来ようとしている様子が描かれている。防空壕の薄暗さを墨を生かして巧みに表現し、壕の上の土坡(どは)に明るい茶色と緑色の配色を施し、さらにいかにも南国人らしい容貌、風俗の女性を壕の入口に配置することによって、暗い防空壕とまぶしいほど明るい戸外との対比を見事に表現している。また、防空壕の建材による直線と、土坡と女性が作り出す曲線の組み合わせが効果的な画面構成を演出している。本作品は42年の第5回新文展に出品された。同展では戦時下という時節柄、「南方もの」を題材にした作品が多かったが、わけてもこの《防空壕》は好評を博した。本作品は《香妃戎装(じゅうそう)》(1944年)とならぶ戦争美人画の秀作であると同時に、まぎれもなく関雪美人画の代表作のひとつといえよう。

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