旧乾家庭園
きゅういぬいけていえん
概要
旧乾家庭園
きゅういぬいけていえん
兵庫県
昭和12年(1937)頃の作庭。旧乾家住宅は東灘区の山麓部に位置し、付近は近代になって比較的早い段階で郊外住宅地として開発され、大正時代頃から関西の財界人が居を構えるようになり、大規模な邸宅が数多く建築された。
旧乾家庭園は、正門から玄関にいたる前庭、洋式庭園、和式庭園、茶庭から構成されていたが、茶室の消滅とともに茶庭もなくなった。
前庭は、正門から車寄せ玄関までのアプローチと、東側塀までに広がる空間である。玄関付近は、車寄せ廊周辺の外装材に竜山石を使って石積風に造っている。玄関前と勝手口前は、列柱による吹き放ちの廊を造り車寄せとしている。床は花崗岩の敷石で幾何学的なデザインが目を引く。前庭の東側・北側にかけて軽い築山があり、前庭の主景として独立した壁泉を設ける。
洋式庭園は洋館の南側にあり、洋館に接しテラスが設けられフラワーポットも置かれている。芝生が中心の開放的な明るい庭園であり、来客時の接遇に用いられた。塀際には、常緑樹や針葉樹を、前方に花木を中心に植え、四季に咲き変わる花木を楽しむ植栽としている。
和式庭園は洋館の西側に築造された和館の南側に設けられた本格的な日本庭園(流水観賞式庭園)。庭園には流れが二つあり、一つは滝の水溜めを水源として流れを形成し、もう一つは洋館南西隅の自然石井戸より、オーバーフローによって流れを形成するものである。二つの流れは途中で合流して一つの流れに変わる。ゆるやかな流れはカーブを形成し、屋敷外へと排水される。
神戸市東灘区住吉山手5丁目1637
神戸市指定
指定年月日:20140319
神戸市
記念物