宇土の雨乞い大太鼓 附関連資料
うとのあまごいおおだいこ つけたりかんれんしりょう
概要
熊本県宇土市では,夏の干天時の雨乞いを始め,田植後のサナブリや八朔の豊年祭りなどのときに,大きな太鼓を担ぎ出して叩き,降雨や豊作を祈願する行事が伝承されてきた。これらの行事は,戦後の社会変動の中で多くが失われたが,市域には29基の雨乞い大太鼓が残されている。
雨乞い大太鼓には,長胴太鼓とドラ太鼓の二種がある。いずれも,ケヤキの大木を刳り貫いて作られた鋲留め太鼓で,面径が1mを超えるものも多く,近世から明治初期にかけて製作されている。
長胴太鼓は,26基が収集されている。台車に載せたり,担い棒に括り付けて担ぎ,鼓面を横から叩く形式で,両側の縁に木星と呼ばれる多面体の飾りが付くのが形態上の大きな特徴である。また,ドラ太鼓は,湾曲し装飾化した枠の付いた台車に吊り下げ,鼓面を上から叩く形式で,3基が収集されている。
これらの太鼓のほかに,太鼓の胴に掛けた油単や太鼓のばち,担ぎ棒,太鼓とともに使用された鉦(かね)や笛,革の張替時などに書かれた古記録もあり,関連資料として附にしている。