紙本墨画蓮図(能阿弥筆/自詠和歌及七十五歳の款記がある)
しほんぼくがはすず(のうあみひつ/じえいわかおよびななじゅうごさいのかんきがある)
概要
本図は、足利将軍家に仕えた能阿弥の最晩年の小品である。能阿弥は、将軍家の書画コレクションに直接関わることのできた立場から、唐物、すなわち良質な中国宋元画に触れる機会があり、それらを研究して自らの画風を形成した。当時は、南宋の牧谿という画僧の柔らかい画風がもてはやされたが、本図はその特徴を良く示している。画中に能阿弥自作の和歌と75歳のサインが記されている。後の狩野派などにも大きな影響を与えた阿弥派の初代による最晩年の基準作として貴重である。