紙本墨画西湖図〈鴎斎筆/六曲屏風〉
概要
史蹟に富む景勝の地として知られる西湖に題材をとっている。絵は阿弥派に近い画風を示しているが、そのうちにはおのずから別趣の個性を示していて、室町水墨画の中にあってその資料的価値は低くない。筆者鴎斎【おうさい】の伝記は未詳であるが、本図と同じ印章を有するものの款記に、「春鴎斎」とあり、その号のあることが知られる。画史には能阿弥(文明三年没)に鴎斎・春鴎斎の号のあることが見えているが、本図はその画風よりみてその年代まで遡り難く、むしろ室町時代も後半期の制作と考えられる。