絹本墨画蓮池白鷺図
けんぽんぼくがれんちはくろず
概要
荷花に水禽を配した蓮池水禽図は、北宋以来、江南の花鳥画家達によって盛んに描かれ、わが国にも早くからの伝来を見ている。そのうち、著色画である知恩院本、東京国立博物館本はすでに、重要文化財に指定されているが、本図は水墨画による遺例の一つである。図様は定型化した構図によっているが、蜻蛉などの虫類が加えられており、草虫画的な興味が添えられている。描写は没骨描を旨とし、よく水墨の潤いのある表現を保っており、時代は元時代もそれほど降らぬものと思われる。