洛中洛外図
らくちゅうらくがいず
概要
近世都市・京都のにぎわいぶりを主題とします。右隻中央を流れる鴨川に沿って、慶長17〜18年(1612-13)に角倉了以の開いた高瀬川が描かれ、また左隻の二条城天守閣は寛永元年(1624)改築以前の位置にあることから、景観年代はほぼ元和年間となります。祇園祭のハイライト・山鉾巡行を描かず、神輿渡御の方をとりあげる点で異色の洛中洛外図。その行列中に南蛮人の扮装をした人物が混じっています。
二条城天守閣を西北の隅に描くのは寛永元年(1624)以前の配置です。この年から、後水尾天皇の行幸を迎えるための拡張工事が始まり、旧天守は取り払われ、2年後には西南の隅に新たな天守が完成しています。また、城門を出る牛車は元和6年(1620)将軍秀忠の娘・徳川和子(東福門院)が後水尾天皇に嫁いだ折の婚礼行列と考えられます。これは公武和合を象徴するイベントでした。
【南蛮美術】【江戸の絵画】