箱根細工の製作用具及び製品
はこねざいくのせいさくようぐおよびせいひん
概要
本件は,神奈川県西部の箱根・小田原地方において,箱根細工と呼ばれる木工製品の製作に使用された用具と製品である。箱根細工は,箱根山地における木地師の挽物を源流とし,近世には,東海道を往還する旅人や箱根七湯を訪れる湯治客の土産物として広く知られるようになり,幕末からは海外輸出用の製品としても販路を広げた。ロクロを用いて作る挽物細工と,色合いの異なる樹種の板材を組み合わせて作る指物細工に大別され,指物細工は,表面の装飾技法から,さらに寄木細工と象嵌細工に分類される。挽物細工では,原材料を回転させた足踏みロクロ,成形に用いたロクロガンナやミズヒキ,寄木細工では,種木や寄木ズクを削り出す台ガンナやセンガンナ,寄木模様を作るマルガンナ,象嵌細工では,木材の裁断に用いた細工用ミシン等がある。製品は,挽物細工には,椀や盃,盆等の生活用具をはじめ,土産物として人気を博した豆茶器や独楽,入れ子の構造をとる七福神や十二玉子等の玩具,寄木細工には,仕掛けの操作で開閉する秘密箱や箪笥,象嵌細工には,額絵や小箱等がある。
(※解説は登録当時のものをもとにしています)