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版経断簡「妙法蓮華経普賢菩薩勧発品第二十八」

みょうほうれんげきょうふげんぼさつかんぼつほん

概要

版経断簡「妙法蓮華経普賢菩薩勧発品第二十八」

みょうほうれんげきょうふげんぼさつかんぼつほん

/ 江戸 / 日本

江戸時代/1603~1800

妙法蓮華経7巻
妙法蓮華経普賢菩薩勧発品第28


「妙法蓮華経」
法華経、妙法華経ともいう。
【成立】
竜樹(ナーガールジュナ)の大智度論に引用されることから、西暦紀元前後の成立と推定される。その成立は中心となる章がまずでき、ここから増広して現在のようになったとみられる。
【内容】
8巻。28章からなる。
〈第1章・序品〉
釈迦仏が三昧に入りさまざまな奇瑞を現すのに対して、文殊菩薩が「妙法蓮華経」を説かれるのに違いないと語る。
〈第2章・方便品〉
本経の中心となる章。仏は三昧より起ち、仏が仮に3つに分けて説いた三乗の教えは、本来ただ1つ(一乗)であることを述べ、仏が世に現れるのは、衆生を救うというただひとつの仕事(一大事因縁)のためであることを説く。
〈第3章・譬喩品〉
前章の説法が譬喩を用いて解き明かされてゆく。ここでは「火宅の譬え」が述べられる。また、舎利弗に対して、未来に如来となることを予言(授記)する。
〈第4章・信解品〉
「長者窮子の譬え」が説かれる。
〈第5章・薬草喩品〉
「三草二木の譬え」が説かれる。
〈第6章・授記品〉
仏の説法を理解した摩訶迦葉、須菩提、迦旃延などに授記する。
〈第7章・化城喩品〉
「化城の譬え」が述べられる。
〈第8章・五百弟子受記品〉
富楼那など500人の弟子に対して授記する。
〈第9章・授学無学人記品〉
阿難、羅睺羅などに授記をし、「貧人宝珠の譬え」が説かれる。
〈第10章・法師品〉
本経を保ち弘める「五種の法師」の修行や、本経に対する10種の供養の功徳が説かれる。
〈第11章・見宝塔品〉
七宝の大宝塔が大地より出て空中に止まり、その中より多宝仏が現れ、釈迦仏の説法がすべて真実であることを証明する。仏はその塔中に入り、多宝仏と並んで坐り説法を始める。
〈第12章・提婆達多品〉
悪人、竜女などの成仏を説く。
〈第13章・勧持品〉
薬王菩薩などの大菩薩が本経を弘めると誓う。なお本章に有名な「二十行の偈」があり、いかなる迫害が及んでもこれを忍んで本経を弘める、という大誓願が記されている。
〈第14章・安楽行品〉
仏滅後の悪世にあって本経を弘める要点を、身・口・意・誓願の「四安楽行」によって説き示す。
〈第15章・従地湧出品〉
この娑婆世界に本経を弘める本化の大菩薩が現れる。さらに仏は久遠の昔よりこれらの大菩薩を教え導いていたことが説かれる。
〈第16章・如来寿量品〉
本経の眼目となる章。仏は実ははるか昔に悟りを開かれていたことが「五百塵点の譬え」によって説かれ、さらに諸法の実相を知見する「仏知見」の深遠高大なることを説き、仏の身体が常住であり、常に霊鷲山にいることを明らかにする。
〈第17章・分別功徳品〉
仏の寿命が長遠であることを聞いた功徳が説かれる。特に「五品の功徳」が示される。
〈第18章・随喜功徳品〉
「五品の功徳」のうちの「初随喜品の功徳」を詳しく説く。
〈第19章・法師功徳品〉
本経を受持するなどの「五種の法師」の功徳が示される。
〈第20章・常不軽菩薩品〉
常不軽菩薩の行いを譬えとして、本経の功徳が明かされる。
〈第21章・如来神力品〉
仏は上行菩薩などの大菩薩に滅後に本経を弘めることを命ずる。
〈第22章・嘱累品〉
前章に加えて、諸菩薩に対して本経を弘めることを命ずる。
〈第23章・薬王菩薩本事品〉
薬王菩薩のかつての行いを譬えとして挙げ、本経受持の功徳を説く。
〈第24章・妙音菩薩品〉
妙音菩薩が来て、釈迦仏、多宝仏塔を礼拝・尊敬することを示す。
〈第25章・観世音菩薩普門品〉
観世音菩薩が来て、同じく供養・尊敬することを示し、観世音菩薩の神力・慈悲の広大なることを明かす。
〈第26章・陀羅尼品〉
薬王菩薩が本経を受持する者を守護することを明かす。
〈第27章・妙荘厳王本事品〉
浄蔵・浄眼の二王子のかつての因縁譚を語り、この二王子が今の薬王・薬上の二菩薩であることを明かす。
〈第28章・普賢菩薩勧発品〉
普賢菩薩が本経を聞くために来て、悪世に本経を受持する者を守護することを誓う。
【後世への影響】
中国においては、本経によって天台宗が成立した。日本仏教では、聖徳太子が法華義疏を著し、最澄が本経に基づいた天台宗を弘めて以来、『法華経』は日本仏教の根幹を形成し、とくに日蓮によって日蓮宗が開かれて、『法華経』は諸経の王として信仰されるに至った。
【関連経典】
正法華経・添品妙法蓮華経・無量義経・観普賢菩薩行法経

大蔵経全解説大事典(1998年)より抜粋

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