黄釉沙金袋水指
おうゆうさきんぶくろみずさし
概要
水指(みずさし)とは、茶の湯の席で、水を入れておくうつわです。通常、漆塗(うるしぬり)ややきものでつくった蓋をして使います。
さて、この水指は、九州・福岡の鷹取山周辺で焼かれた高取焼で、薄く軽やかなつくりが特徴です。全体に丸く、口を絞ったようなかたちから、沙金袋の名がつけられました。
高取焼は、16世紀末、文禄・慶長年間に朝鮮半島からきた陶工によって開かれた、黒田藩の御用窯で、おもに殿様が使う茶道具や将軍家に献上する茶道具を作っていました。初期はいかにも桃山ふうのごつごつした力強いやきものをつくっていましたが、江戸時代に入ると、大名茶人の好みに合せて、この作品のように軽やかで洗練されたかたちを得意とするようになりました。
高取の見どころは、釉薬の流れによる美しい色と文様でしょう。複数の釉薬を、様々な方向から重ねてかけることによって、複雑で繊細、瀟洒な味わいをだしています。