日光菩薩坐像 にっこうぼさつざぞう

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彫刻 / 奈良 

奈良時代・8世紀
木心乾漆造、漆箔
高56.1
1躯
重要文化財

 奈良時代、8世紀にさかのぼる大変貴重な仏像です。切れ長の目とみずみずしくふっくらとした顔立ちは、この時代の仏像の特徴です。
 まずは質感にご注目ください。髪の毛を見ると、一本一本の柔らかい毛筋がふんわりと束ねられています。仏像の脚や台座の上にかかる衣は、自然なひだをつくり、しなやかにたれています。こんなにも柔らかでリアルな表現は、この仏像をつくるのに用いられた「木心乾漆造」(もくしんかんしつづくり)という技法ならではのものです。
 「木心乾漆造」とは、木でおおよその形をつくった上に、木屎漆(こくそうるし)という、漆に木の粉などを混ぜてペースト状にしたものを盛り上げて仕上げる技法です。指などの細かい部分は針金を芯にして、木屎漆で肉付けをしています。いたんでしまった左腕をよく観察すると、およその構造がお分かりいただけると思います。かたい木を彫ってつくる木彫がシャープな表現に適しているのに対して、乾漆は穏やかな丸みや柔らかな質感を出すのに適した技法と言えるでしょう。ただし、手間と時間、つまりは大きな財力が必要とされる技法で、この時代以降はあまりつくられなくなりました。
 実はこの仏像は、薬師如来を本尊として、日光菩薩、月光菩薩を左右に配した三尊形式のうちの1体でした。本尊の薬師如来は京都・高山寺に、月光菩薩は東京藝術大学に所蔵されています。日光菩薩のからだがほんの少し、左に傾いているのは、本尊の薬師如来に寄り添うようにつくられたからでしょう。

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