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書状(ちょほ宛)

しょじょう

概要

書状(ちょほ宛)

しょじょう

/ 江戸

徳川家康筆

江戸時代・元和元年(1615)

紙本墨書

本紙 縦32.0 横51.8

1幅

重要美術品

 徳川家康の最晩年の書状です。一番左の宛名は「ちょぼ」、孫娘である千姫の侍女の名ですが、内容は千姫に宛てた手紙です。千姫は、夫・豊臣秀頼を大坂夏の陣で失いましたが、それは祖父である徳川家康に攻め滅ぼされたからでした。千姫の、家康に対する気持ちはどのようなものだったでしょうか。ここで家康は千姫に、どうしているか、くわしく様子を教えてくれ、案じていると繰り返し、夫を失い、悲しみ傷ついた孫娘を気遣っています。
 右から4行目、高い位置で始まる行が手紙の出だしです。1文字目は黒々として、墨がたっぷりと筆にたくわえられています。そこからだんだんと線がかすれていき、この行の後半でまた墨の色が濃くなっているので、ここで墨を筆に再びふくませたことが分かります。書き進めるにつれ、この墨継ぎの回数が減っていくことが分かるでしょうか。墨継ぎの手間も惜しいほど、あふれる気持ちを紙に乗せているのです。ほとんど墨継ぎをせずにたどり着いた本文最後の行は、弱々しくかすれた線が紙の中にとけていくように見えます。うまく書こう、よく見せようなどという気持ちとは無縁の、書き手の心がにじみ出た書状です。
 権力者としては大成功をおさめた家康ですが、ひきかえに、愛する身内に悲しみと喪失を与え、大きな苦しみも味わったことでしょう。筆跡はその時の心理状況も、時を超えて生々しく私たちに伝えます。

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