街の掃除夫
概要
97 清水登之(1887−1945) 街の掃除夫 1925年
栃木県生まれ。1907年単身アメリカへ渡り、労働者として各地を転々とした後シアトルで画塾に入門し絵を学ぶ。その後ニューヨークへ渡り、当時のアメリカ社会を主題に制作した「アメリカン・シーン」の画家ジョン・スローンに師事。24−26年渡仏。29年第16回二科展で樗牛賞。翌年独立美術協会創立に関わり、以後同展に出品を重ねた。
アメリカで独自のプリミティヴな画風を確立した清水であるが、念願であったフランス滞在期、色彩面でより大胆な展開をみせるなど作品は格段に洗練されていく。この《街の掃除夫》では、アメリカ時代同様、街に暮らす人々の何気ない一コマがモチーフとなっているが、とりわけ中央の二人の掃除夫のたくましい逆三角形の上半身と、それに比してアンバランスに短い足の描写は清水特有のユーモラスな人物表現である。また足元の犬のみが俯瞰する視点から描かれている点などにはキュビスムの多視点構図の影響があるとも言われている。