パリ・ソンムラールの宿

絵画  油彩画 / 日本 

小出楢重 (1887-1931)
こいでならしげ
1922(大正11)年
油彩・板
51.5×44.5
額装

 小出楢重がわずか半年ほどの滞仏期間に制作した数少ない油彩の一つで、彼が滞在していたパリ・ソンムラール街のホテルからの光景である。
 画面構成の上で、しばしば重要な役割を果たす<窓>を巧みに利用して、小出はきわめて独創的な絵画空間を生み出している。窓が切り取る平面と、その奥に展開する奥行きのあるしかし閉じられた空間。パリの典型的な都市風景を、小出は緊張をはらんだ構図に作り上げている。
 窓枠、街路および建物の垂直線と斜めの線の拮抗(きっこう)。これら直線に、さらに窓の唐草模様の手すりの曲線を組み合わせるやり方は見事である。この構図は、実際の風景に基づいてはいるが、それでいて、現実とは異なる絵画空間独自の秩序を有しているのである。
 小出の独自性は、これまでしばしば関西の風土と結び付けて語られてきた。しかし彼の本質は、そうした風土論を超えて、日本近代の油彩画において、きわめて正統なやり方で、絵画空間のオリジナリティーを追求した数少ない優れた画家の一人であるという点にこそあると思われる。 (土田真紀)

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