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スクリアビンの『エクスタシーの詩』に題す

概要

スクリアビンの『エクスタシーの詩』に題す

油彩画

神原泰  (1898-1997)

カンバラ、タイ

大正11年/1922

油彩・布・額・1面

114.6×89.6

三科展 東京、銀座松坂屋 1925

20
スクリアビンの「エクスタシーの詩」に題す
Subject from ""The Poem of Ecstasy"" by Skryabin
1922年
油彩・布 114.6×89.6㎝
1917年に「自動車の力動」ほかの詩篇を発表し、前衛詩人として世に出た神原泰は、イタリア未来派の研究や紹介に力を注ぐ一方、同じ年の二科展に《麗はしき市街、おゝ複雑よ いらだちよ》を出品、この作品は展覧会で発表されたわが国で最初の抽象画と目されている。以後大正期最後の数年間に「アクション」、「三科」、「造型」と前衛美術家グループの離合集散が繰り返されるなかで、画家として、またその理論的指導者のひとりとして会を率(ひき)いたのが神原であった。
わが国における抽象絵画の最初期の作例の幾点かが、神原という、画家としてはまったく独学の詩人の手になるものであることは持筆にあたいしよう。単語や語句の断片をたたみかけるように連ね、ときに反復させて、いわば鋭角的な制動力によって異例の力動感をえた彼の「後期立体詩」と、形がときに流動し、ときに勃発するその抽象画が同じ感性の所産であることは容易に見てとれるが、そこには、旧来の絵画を壊して抽象画に進むという道筋ではなく、同じひとつの心の状態をあるときは詩に歌い、あるときは絵に歌うという回路が生じえたのである。25年の三科会員展に出品された《スクリアビンの「エクスタシーの詩」に題す》では、スクリアビンの交響詩をレコードで聴いたときの印象がもとになって、赤や黄の原色が破局的にこだまするなか、その奥底に口をひらく神秘の洞穴に招き入れられるような色彩の詩が生まれている。

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キーワード

画家 / 貝殻 / 出品 / 射光

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