須恵器甕 猿投窯
スエキカメ サナゲヨウ
概要
火色が胴部によく表われた甕である。頸部から下、胴部から裾部にかけて叩き痕がナデ消されずに残され、一方は窯中でよく火がまわり、赤く焼締めた様子で、もう一方は肩から胴の中程にかけて自然釉が掛かっている。口縁部に二箇所の欠けがあるものの、口縁は外反し、玉縁上に仕上げられている。猿投窯は尾張国南部(現在の愛知県瀬戸市・豊田市周辺)の猿投山西南麓を中心に広がる古窯群で、古墳時代に須恵器生産が始まり、その後、灰釉陶器や緑釉陶器、そして山茶碗と、古墳時代から鎌倉時代にかけ、時代に合った製品を脈々と生産してきた窯である。