京都府神雄寺跡出土品
きょうとふかみおでらあとしゅつどひん
概要
神雄寺跡は、平城京の北、奈良山丘陵の北東端に築かれた山林寺院跡で、奈良時代から平安時代初頭(8~9世紀)に機能した。本一括はその主要な出土品全911点で構成される。
特筆されるのは、山水を立体的に造形した組み合わせ式の彩釉山水陶器で、須弥山や極楽浄土の風景を表現したとの意見がある。また、多量に投棄された灯明皿や「悔過【けか】」「浄」などと記された墨書土器、正倉院宝物に類例のある陶製腰鼓、万葉集巻10所載の和歌(「あきはきのしたはもみち」)が載る木簡、天部像とみられる塑像片、奈良三彩の仏具など仏教儀礼・芸能に関わる資料を数多く含む。さらに、「神雄寺」「神雄」「神寺」などと記された多数の墨書土器は、史料に認められない本寺院跡の名称と、神仏混淆となるその性格を示す。
小規模な山林寺院にて執り行われた仏教儀礼・芸能を復元し、都城周辺の仏教文化の具体像を顕著に示すものとして学術的価値が高い。