泰西風俗図屏風
たいせいふうぞくずびょうぶ
概要
田園風景のなかに西洋風の人物を描く初期洋風画。技法的には、絵具の濃淡で立体感を表わし、樹木・人物には影を付け、全体的に輪郭線に頼らず、色面とハイライトでモチーフを描写するなど、17世紀のイエズス会による西洋絵画教育の影響をうかがわせる。本作品は、10件ほどしか現存しない大画面構成の初期洋風画屏風の一例で、そのなかでも特に優れた描写と良好な保存状態をもつ優品である。なかでも本図の画風は、黒田家旧蔵本(現・福岡市美術館本、重要文化財)に描写が酷似している。近世初期に来日したヨーロッパ人との交流を通して、日本で隆盛した「南蛮美術」の大作である。下村観山旧蔵品。