釈迦六祖像
しゃかろくそぞう
概要
奈良時代に平城京を中心に栄えた仏教の宗派を総称して、南都六宗(なんとろくしゅう)あるいは奈良仏教といいます。この作品は奈良仏教の宗派、そして天台宗を開いた人物ら祖師6人を、釈迦とともに描いた珍しい作品です。
中央に釈迦を配置し、その周りを6人の人物たちが取り囲んでいます。平安時代の仏画に見られるような、色彩豊かで金などを用いた装飾的な表現ではありませんが、しっかりとした線とはっきりとした色づかいで、画面を構成しています。
釈迦の死後、仏教が衰えて社会に混乱が起こるという末法思想(まっぽうしそう)が平安時代後期から広まり、鎌倉時代中頃にかけて仏教の新しい考え方である新仏教が出現してきます。それに対して奈良仏教界では、釈迦の本来の教えに戻り仏教を復興していこうという動きが起こりました。この作品は、そうした奈良仏教界の動きに合わせて制作されたものだと考えられています。