賢首菩薩

日本画 

菱田春草 (1874-1911)
ヒシダ、シュンソウ
明治40年/1907
彩色・絹本・軸・1幅
185.7×99.5
右下に印章
1回文展 元東京勧業博覧会美術館 1907

1
賢首菩薩(けんじゅぼさつ)
Bodhisattva Genju
1907年
絹本彩色・軸
185.7×99.5cm
重要文化財
没線彩画描法は、従来の日本画が用いた線描きを捨て、色彩の濃淡だけで画面を構成し、空気や光線を表現しようと大観と春草が始めたものである。その後、線はしだいに復活するが、その線は従来の太い、細いの線とは性格が異なり、釈迦なら釈迦の円満な容貌を意味する線、いわば象徴的な線であった。色彩研究の上に加えられたこの線によって、これまでの画風は新しい様相を呈した。この方法に自信を得た春草は、日本美術院の五浦(いづら)時代に入ってからも、ますますこの方法を追求し、第1回文展に発表したのが≪賢首菩薩≫である。春草はこの作品で、線のように見える部分も色面もすべて点描式に塗りつぶし、その上に細密描法を用いて模様を入れ、明暗というよりは色調によって遠近や立体感を出す新しい技法を開拓した。しかしその苦心は当時の審査員には理解されず、落選しかけたが、天心、大観らの強い主張によって入選、二等賞第三席を得た。作品の題名になっている賢首菩薩は中国唐代の僧侶で、華厳宗第三祖である。

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