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朝鮮風景

概要

朝鮮風景

絵画 / 油彩画 / 大正 / 日本

藤島武二  (1867-1943)

ふじしまたけじ

1913(大正2)年

油彩・キャンバス

63.5×89.6

額装

 小高い位置から見下ろすようにして、家並みから明るく反射する遠山にいたる眺望がとらえられている。山のむこうの青は海だろうか?
 遠ざかりゆくひろがりは、手前の道、家並み、丘、遠山など、横にのびる帯を重ねることによって表されている。暖かい褐色を基調にしつつ、各帯はおおむね単純化されたひとつの色の面をなす。ただしこの色面は、決して平板になることなく、大地の起伏をよく表現しえていよう。
 これはまず、空の部分や手前の家の屋根にうかがわれるように、ひとつの色の面はつねに、異なる地の色の上に重ねられて、層なす厚みを獲得しているからだ。筆の先でなく穂全体にたっぷり絵具をすくった筆致は、おのずからゆるやかな時間をはらんでいる。筆致のざわめきは、特に空の部分に著しい。
 ついで、つねに丸みを忘れぬ形態が、自然な拡張感と重みをもたらす。
 下中央の人物のように不明瞭な部分を残しながらも、ここでは、色や筆致などの重なりが、互いとの交渉によって充溢しあうという、絵画固有の空間が成立しているのだ。(石崎勝基)

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キーワード

藤島 / 武二 / 絵具 /

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