鉄橋近く てっきょうちかく

絵画  素描 / 昭和以降 / 日本 

松本 竣介 (1948)
まつもとしゅんすけ
1944(昭和19)年
紙,墨 コンテ
32.1×41.4
1枚

興味深いことに竣介は同じ風景を油彩と素描とで何点か残しているが、その理由は特殊な制作方法にある。スケッチした風景を持ち帰り画面構成を組立て、カルトンと呼ばれる原寸大下図を制作、モチーフの輪郭を紙や画布に写し取った。この作品もその方法で制作したものだろう。ここで描かれる東京・五反田周辺の風景に関しても、この絵からモチーフの配置や構図を微妙に変えたカルトンが発見されている。「デツサンがあつて形の創造される処に画家としての仕事がある」と認識していた竣介の地道で古典的な技法は、マチエール作りだけでなく構図やモチーフの形の仕上げにも及んでいたのだ。さらに墨やコンテで丁寧に描き込まれたこのような素描作品は、竣介にとって油彩画と同じように独立した作品であったし、その事実はくっきりと書かれた左下のサインからもうかがえる。この作品でサインが『竣介』となっているが、この頃「俊介」だった名前を父親の勧めで「竣介」と変えたためである

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