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穂高山の麓

概要

穂高山の麓

水彩

大下藤次郎  (1870-1911)

オオシタ、トウジロウ

明治40年/1907

水彩・紙・1面

47.5×67.5

右下に署名、年記

1回文展 元東京勧業博覧会美術館 1907

26

穂高山の麓   一面

大下藤次郎

水彩・紙
四七・五×六七・五
明治四十年 (一九〇七)
東京国立近代美術館

第一回文展に出品された大下藤次郎(一八七〇〜一九一一)の代表作。この年日本山岳会に入った画家は当時まだほとんど訪問者もない山岳地帯を訪ね歩き写生した。この作品では残雪の穂高山を、山の全貌ではなく、湖畔の背景として近くから山肌を描いているに過ぎないが、そのことが逆に山のずっしりとした存在感や迫力を強く伝えることになっている。比較的自由に筆を運んでいる山肌と対照的に、湖畔の緑や木の葉は点描風に、湖に
映える樹木の影は筆触を並置して、いずれも丁寧に丹念に描写されている。澄んだ空気、深々とした山、静まりかえつた湖畔など、ほとんど手垢のつかない新鮮な自然と作者との交感が生き生きと伝わってくるような作品である。名所絵的な束縛から解放され、何気ない自然の一角が描かれるべきモチーフとなって成立する「風景画」に、少なからぬ影響を与えたのが明治三十年代の水彩画の流行であったが、大下は 『水彩画の莱』(明治三十四年)、『水彩画階梯』(明治三十七年)といった技法書の出版や、雑誌『みづゑ』 の創刊など、早くから水彩画の普及と指導に力を尽くした啓蒙家でもあった。

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