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彦根藩井伊家文書

ひこねはんいいけもんじょ

概要

彦根藩井伊家文書

ひこねはんいいけもんじょ

その他 / 安土・桃山 / 江戸 / 近畿 / 滋賀県

滋賀県

桃山~江戸

27800通

彦根城博物館 滋賀県彦根市金亀町1-1

重文指定年月日:19960627
国宝指定年月日:
登録年月日:

彦根市

国宝・重要文化財(美術品)

 本文書は、江戸時代を通じて彦根三五万石を領した井伊家に伝来した文書で、江戸時代中期から幕末を中心に二七、八〇〇通を存する。
 井伊氏は、遠江国井伊谷を本貫とした土豪で、直政が関ヶ原合戦における軍功で佐和山一八万石に封ぜられ、慶長九年に直継が築城した彦根山に移って以来、転封もなく維新を迎えるまで、譜代大名溜間詰の筆頭として幕政に重きをなした。
 井伊家文書は従来未公開であったが、直弼関係の史料が『大日本維新史料』として刊行され、近年彦根市が昭和五十三年度から六か月をかけて行った調査の報告書によってその膨大な史料の全貌がはじめて明らかにされた。今回の指定にあたっては、井伊家藩政史料としての性格から廃藩置県の明治四年をその下限とした。
 井伊家伝来の文書群は大別して歴代藩主家文書、直弼大老在任中の文書と彦根藩文書からなっている。藩主家文書は、譜代大名筆頭としての井伊家の歴史を反映して内容は多岐にわたり、将軍家との密接な関係を示す書状や、近世大名のまとまった道具帳として注目される諸道具帳類なども含まれている。直弼については、その人柄や学芸を伝えるものや、幕末開港をめぐる政治史の展開のなかで心情を吐露した文書などがみられる。また、朝廷や攘夷派への対応が知られる公用方秘録や、条約関係の史料も多く、幕末外交文書としても質量ともに豊富である。
 彦根藩文書のうち、江戸城での直勤日記や、儀式を詳細に記した式書などは、幕府の日常を考えるうえでも重要である。さらに家中の由緒、経歴を記した侍中由緒帳は近世の大名家臣団の研究に不可欠であり、御城使御用寄合留は、幕政と藩政相互の関係が知られる史料である。この他、暮物伺は昇進に関する具体的な手続き内容を伝えて注目される。
 このように、本文書は遺例の少ない譜代大名家文書のなかで、溜間詰筆頭として幕政に直接参与し、政局を運営した機微を伝える史料を多く含む他、直弼を中心とした幕末期の文書は、当時の内政外交史料としても第一級のものである。

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