無量義経・観普賢経
むりょうぎきょう・かんふげんきょう
概要
平安時代後期には、美しい染紙や金銀を使用したいわゆる装飾経が数多く作られたが、なかでも写経功徳を説く『法華経(ほけきょう)』がもっとも多い。しばしば『法華経』は、序論というべき『無量義経』(開経(かいきょう))と結びの『観普賢経』(結経(けっきょう))を加えた「法華三部経」として書写された。この2巻ももとは『法華経』と一具であったと考えられる。濃淡の褐色の染紙(そめがみ)を交互に継ぎ合わせて金砂子(きんすなご)を散らした料紙に、金泥(きんでい)で界(罫)を引き、墨で経文を書写した、このような写経は「色紙経」とよばれる。温雅な和様の書風は11世紀の写経を代表する名筆といえる。両巻はそれぞれ別々の伝来経路をたどり、当館で再会を果たした。
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公益財団法人 根津美術館