十一面観音立像
じゅういちめんかんのんりゅうぞう
概要
新薬師寺に伝来した十一面観音像で、南都の平安仏に多いいわゆる板光背(いたこうはい)(板の表面に彩色などで文様を表す光背)を伴っている。目を伏せた優しい表情、なで肩で華奢(きゃしゃ)な体型、浅く穏やかな彫りでまとめられた衣文などに平安後期彫刻の典型的な特徴が認められるが、体軀(たいく)に比して頭部が非常に小さいプロポーション、肉身や着衣のいたって簡潔な造形など、その作風はユニークである。同寺本尊薬師如来坐像の脇侍として本堂内におかれていたが、これは後世の組み合わせによるもので、当初の安置状況は不詳である。
なら仏像館 名品図録. 奈良国立博物館, 2010, p.102, no.131.