和歌初学抄〈藤原為家筆/〉
わかしょがくしょう
概要
『和歌初学抄』は、平安時代後期の歌人藤原清輔が著した歌学書である。内容は古歌の詞句、地名等を十二項に分け、それぞれ解釈を示し、『万葉集』以下の歌集や『伊勢物語』等から証歌を列挙して初学者の作歌の心得に備えたものである。
この冷泉家本は藤原為家(一一九八~一二七五)が書写したもので、体裁は綴葉装、薄茶地唐草模様雲母刷唐紙の原表紙を装し、その左肩には為家筆の外題が書かれている。本文は半葉七行、引用和歌は一首二行書に書写しており、文中には墨書で異本注記、訂正、片仮名傍訓等が書き込まれている。帖末には「弘長二年六月/求出更校合、/年来証本/被借失了、/仍以或本/所書写也/六旬余比丘/融覚(花押)」と校合奥書があり、本帖が為家の書写本で、弘長二年(一二六二)六月に改めて校合を加えたものであることを明らかにしている。本帖は『和歌初学抄』の伝本中、完本としては最古本であり、また本文中には他の諸本にみられない注記等もあって、平安時代和歌文学研究上に貴重である。
所蔵館のウェブサイトで見る
国指定文化財等データベース(文化庁)