緑釉四足壺
りょくゆうよんそくつぼ
概要
緑釉四足壺
りょくゆうよんそくつぼ
福岡県
平安/801-900
猿投窯産の緑釉陶器で、素地は灰白色軟質陶胎で、薄く轆轤成形した短頸壺に四足をつけた四足壺である。外面全体には丁寧に篦削り調整を施す。口部はわずかに外反して短く立ち上がる。胴部は球形をなすが、裾がやや張り、底は平底とする。肩、胴上部、胴下部の三段に低い凸帯を、それに直交して四方に肩から底に至るやや高い凸帯をそれぞれ貼り付ける。その四方の縦凸帯先は外に小さく彎曲させ、篦で面取り仕上げし獣足に作る。内外面全体に緑釉を厚く掛ける。
高18.8 口径8.8 胴径22.9(㎝)
1口
九州国立博物館 福岡県太宰府市石坂4-7-2
重文指定年月日:20020626
国宝指定年月日:
登録年月日:
独立行政法人国立文化財機構
国宝・重要文化財(美術品)
本四足壺は良県宇陀郡榛原町字赤瀬香酔山(旧遍照山)出土と伝え、内側胴下部から底には炭の痕跡が残り、火葬蔵骨器として用いられたと推測される。
本作品は、轆轤成形により薄く挽き出され、端正で整った形姿を示す。また緑釉を効果的に発色させるため胎土に精選した白色細密な粘土を用いて軟質に素焼きし、全面に緑釉を厚く掛けて焼成する。緑釉は艶やかで鮮やかな緑色に発色し、猿投窯における緑釉技術の到達点を見事に体現している。端正な形姿に緑釉が見事に調和する施釉陶器の優品であるとともに、猿投窯を代表する遺例としてもきわめて価値が高い。