大乗法界無差別論疏
だいじょうほっかいむさべつろんそ
概要
『大乗法界無差別論疏』一巻は、華厳宗第三祖を称された唐の賢首大師法蔵(643〜713)の名著で、同宗の深義を明快に論述したものとして知られる。本巻は奥書に「建久三年(1192)極月廿三日亥時許書寫之了 成弁大法師 同廿四日辰時一校了」とあって、高山寺の成弁大法師、すなわち明恵上人(1173〜1232)の書写にかかることを明らかにする。明恵は建久6年に高雄神護寺を辞して紀伊に赴き、華厳宗再興の大誓願を立て、のち高山寺において大成するに至るが、本巻は明恵の比較的若年の筆になり、以後の華厳興隆に果たしたその事跡をたどる上からも、はなはだ貴重である。
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