弘法大師二十五箇条遺告
こうぼうだいしにじゅうごかじょうゆいごう
概要
弘法大師二十五箇条遺告
こうぼうだいしにじゅうごかじょうゆいごう
空海(弘法大師、774~835)が、入定の6日前にあたる承和2年(835)3月15日に門弟へ与えたとされる遺誡で、「御遺告」と呼ばれる。
その内容は、目前に迫った入定を予示すると共に、一宗の諸々の寺院の管理や運営に至るまで詳細に指示したものである。真言宗ではこれを規範とし、大切に伝えてきた。
本巻は、暦応2年(1339)4月21日に、醍醐寺座主の賢俊(1299~1357)が書写した古写本である。
賢俊は足利尊氏の御持僧として権勢を振るった真言宗の僧であるが、本巻の筆跡は賢俊の日頃の書風とやや趣を異にしている。これは書写に用いた親本の姿を尊重した結果と思われ、文中に見られる稠密な仮名・ヲコト点・連続符など、賢俊が本巻をもって證本としようとした跡がうかがえる。
奈良国立博物館の名宝─一世紀の軌跡. 奈良国立博物館, 1997, p.308, no.139.