鸞天目茶碗
らんてんもくちゃわん
概要
鸞天目茶碗
らんてんもくちゃわん
東京都
南宋時代/1101-1300
素地はわずかに黄色を帯びた灰白色稠密な陶胎をなす天目形の茶碗である。胴は高台から漏斗状に外に開き中央部がわずかに絞り込まれ、口辺は立ち上がって一段絞り込み端反りとなる。内面の見込みは狭く平らとし、胴との際には凹線を一条巡らす。高台際には篦削りを施し、高台はきわめて低く小さく削り出される。
高台際から底部は露胎とし全面に黒釉を掛け、外側にはその上に藁灰釉を斑点状に重ねて掛けるが、釉は茶褐色を呈し、一部は白濁して流れる。内側には剪紙細工の文様型紙を貼った上から藁灰釉を重ねて掛けるが、釉は茶褐色を呈し、全体が霜降り状に白濁して流れる。内面の側面二方にはそれぞれ向かい合う尾長鳥を、その間の二方にはそれぞれ蝶を配し、底には一つの花文を描く。
高7.0 口径12.7 高台径3.5(㎝)
1口
三井記念美術館 東京都中央区日本橋室町2-1-1三井本館7階
重文指定年月日:20000627
国宝指定年月日:
登録年月日:
公益財団法人三井文庫
国宝・重要文化財(美術品)
本茶碗は作行【さくゆき】が優れ、鸞の文様もくつきりと表れた作品であり、茶道文化史上貴重な遺例である。なお本品は特に「尾長鳥」とも呼ばれる。中興名物。
江戸時代までの伝来は不明であるが、土屋相模守政直が所持し、寛政四年(一七九二)に土屋家から朽木家へ譲られた。