銅鐸(静岡県三ヶ日町出土)
どうたく(しずおかけんみっかびちょうしゅつど)
概要
釣2号とよばれる袈裟襷文(けさだすきもん)銅鐸の一種で、とくにこの形式のものは、愛知県の三河地方と静岡県の遠江地方に集中して出土するので三遠式(さんえんしき)銅鐸とよばれている。両面ともに身部には縦横の突線で区画した6区を、主に綾杉文と格子文でその周囲を縁取り、鈕は突線鈕で、突線上には綾杉文帯を配し、内縁部には連弧文をめぐらせ、外側には鋸歯文帯を二重にめぐらしている。また身部に鋳出された数条の横突帯が、中央の縦突帯を貫き、鰭(ひれ)部にまでおよび、この種の銅鐸の特徴をよく表している。この釣2号銅鐸は、1号銅鐸とともに、天保9年(1838)に遠江国敷知郡釣村(現、三ヶ日町大字釣)で発見され、当時編纂された『銅鐸図説』 にも紹介されたものである。現在釣1号は東京国立博物館に所蔵されている。銅鐸分布圏は遠江地方を外縁部とするが、本品もその一例である。
奈良国立博物館の名宝─一世紀の軌跡. 奈良国立博物館, 1997, p.278, no.5.