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私家集(承空本)

しかしゅう

概要

私家集(承空本)

しかしゅう

その他 / 鎌倉 / 近畿

鎌倉

43冊

重文指定年月日:19870606
国宝指定年月日:
登録年月日:

公益財団法人冷泉家時雨亭文庫

国宝・重要文化財(美術品)

 鎌倉時代、永仁二年(一二九四)から嘉元元年(一三〇三)にかけて、浄土宗西山派の僧玄観房承空(宇都宮泰綱の子)が書写した私家集のまとまった遺品である。現存するのは私撰集一種、歌合二種を含む四十一種、四十三冊で、その書名は次のとおりである。
 赤人集、家持卿集、小野篁集、小野小町集、業平朝臣集、敏行朝臣集、躬恒集、忠岑集、是則集、伊勢集、貫之集上・中・下、増基法師集、清正集、大中臣頼基集、安法法師集、山田集、藤原元真集、義孝朝臣集、為信集、御形宣旨集、元輔集、鴨女集、朝国集(時明朝臣集)、実方朝臣集、清少納言集、重之女集、道命闍梨集、大中臣輔親集、帥大納言母集、家経朝臣集、範永朝臣集、藤三位集、京極大殿御集、顕綱朝臣集、行尊大僧正集、基俊朝臣集、信生法師集、城美の前司(安達長景)集、言葉集下、奈良花林院歌合、文治二年十月廿二日歌合
 各冊の体裁は、袋綴装、綴葉装など不統一だが、多くは袋綴装横長本で、いずれも料紙共紙の原表紙の中央に外題を記し、左下に承空の花押を書いている。料紙は楮紙で、袋綴装のものは文書の紙背を利用して書写している。本文はすべて片仮名書きで、一部に承空以外の者の助筆も含み、書写奥書が二十三冊にあって永仁二年から嘉元元年に至る十年間に書写されたものであることが知られる。
 承空本は、その一部が江戸時代の転写本によってその存在が知られていたが、冷泉家本中の『言葉集』(惟宗広言の私撰集)は下巻のみだが他に伝本の知られないもので、『京極大殿御集』も他には古筆切によって一部が伝わるのみである。また江戸時代の転写本の誤りを正すものも少なくなく、国文学史研究上に貴重な遺品である。なお、紙背文書の中には永仁五年の年紀をもつ連歌懐紙があり、鎌倉時代の連歌懐紙の遺品として注目される。

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