花樹鳥獣蒔絵螺鈿聖龕
かじゅちょうじゅうまきえらでんせいがん
概要
花樹鳥獣蒔絵螺鈿聖龕
かじゅちょうじゅうまきえらでんせいがん
東京都
桃山
木造、長方形、黒漆塗、両開き観音扉付き、薄い箱状の厨子。上部丸棟、中央に菊座丸鐶の釣り金具を打つ。扉の表裏全面に金銀平蒔絵を施し、針描を交え、ところどころに厚貝螺鈿を併用している。右扉表面は楓・・橘の下部に雌雄二匹の鹿を、その裏面に椿と梟、猿を配し、左扉表面は椿の下方に二匹、樹上に一匹の猿を、その裏面には楓・橘と鹿を図す。扉の周囲は鋸歯文と南蛮唐草文で枠取し、龕側面には葡萄唐草文を装す。背板内部背板は黒漆地に油彩で、キリスト磔刑像が描かれ、その枠には片輪車連続文帯を施す。
総高49.5 横30.3 奥行4.8 (㎝)
1基
東京国立博物館 東京都台東区上野公園13-9
重文指定年月日:19760605
国宝指定年月日:
登録年月日:
独立行政法人国立文化財機構
国宝・重要文化財(美術品)
この聖龕は、いわゆる南蛮貿易の一つとして桃山後期頃から京都において作られたものである。外面と扉裏に花樹・鳥・獣を蒔絵と螺鈿であらわし、内にキリスト磔刑像を油絵で描いている。この絵はスペイン南部の画家によってかかれたと推定される。近世初頭における東西交渉を物語る資料であり、いわゆる南蛮漆芸の中でも類例の少ない遺品である。