釈迦寺遺跡出土遺物
しゃかじいせきしゅつどいぶつ
概要
釈迦寺遺跡は、橘町片白にあり、弥生時代中期の甕棺墓を主体とする遺跡である。平成元年度の県道拡幅工事に伴う発掘調査でSJ246甕棺墓から銅戈1口、SJ279甕棺墓から銅剣1口、銅鉇1個が出土した。いずれも弥生時代中期初頭(紀元前2世紀から同1世紀初め)とみられ、完形品で、特に戈と鉇は質がよく、大陸からの舶載品と考えられる。甕棺に青銅器が副葬されていることは珍しく、いずれも首長級の墓と考えられ、武雄・杵島地方におけるクニの成立を考える上で貴重な資料である。
【銅剣】完形の細形銅剣で、全長32.2cm、幅4.2cm、重量220g。鋒は鋭く、鎬と身下位の刳り込みまでが刃として研ぎだされている。茎の断面はほぼ円形をしており、鋳造時の真土が残っている。全体的に腐食しており、ややもろくなっている。
【銅戈】2つに折れた状態で出土した細形銅戈で、全長24.6cm、幅5.9cm、重量250g。鋒近くまで樋が通っており、胡と呼ばれる基部付近まで研ぎだされている。胡は戈の特徴として傾斜しており、茎とともに鋳造時のバリが残っている。茎は通常扁平だが、本戈は断面が楕円形をしている。銅質がよく、錆はほとんどみられず、保存状態は良好である。
【銅鉇】上甕と下甕の継ぎ目に滑り込み、2つに折れた状態で出土した。使用による研ぎ減りで長さ6.2cm、幅2.3cm、重量20gとなっている。横断面は爪形に表面が膨らんでおり、中央と両側面には三角突起がつけられ、厚くなっている。先端部が刃部となっており、表面側を研磨した片刃である。鉇は、柄を装着して木材の表面を押して削るカンナの一種。
【甕棺】SJ246甕棺は、通称「金海くずれ」とよばれる形態の甕で、上甕と下甕が接口式の甕棺である。SJ279甕棺は、体部中位に三角突帯をめぐらす形態で、上甕が下甕を覆う覆口式の甕棺である。
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