絹本著色補陀落山聖境図
けんぽんちゃくしょくほだらくさんしょうきょうず
作品概要
絹本著色補陀落山聖境図
けんぽんちゃくしょくほだらくさんしょうきょうず
東洋画(日本画を除く) / 元 / 中部
14世紀/14世紀
絹本著色 軸装
縦113.1㎝、横56.9㎝
1幅
長野県指定
指定年月日:20130919
有形文化財(美術工芸品)
定勝寺は臨済宗妙心寺派に属する木曽地方を代表する古刹である。嘉慶年間(1387〜88)に木曽親豊が初屋和尚を開山に迎えて開創したといい、当初は南禅寺派に属していたとも伝えるが、確かなことは不明である。すでに県宝に指定されている香林和尚像、貴山和尚像、玉林和尚像、天心和尚像、木曽義元像などの絵画作品をはじめ数多くの寺宝を伝えるが、本図の他にもやはり元時代の制作と見られる釈迦三尊像や十八羅漢図双幅など複数の中国画(寧波仏画)を所蔵していることに大いに注目すべきである。室町時代の定勝寺が京都、さらにその先の中国へとつながるルートの末端に位置していたことを示すものであろう。本図は元時代の普陀山を描いた貴重な実景に基づいた図であり、そのこと自体評価されるべきであるが、それがはるばる海を越えて日本へもたらされ、木曽谷の禅寺に伝来したという事実は、日中の文化交流史を考える上で、さらには長野県下への文化の浸透という問題を考える上で、極めて重い意味を持つ。