最澄筆 尺牘(久隔帖) さいちょうひつ せきとく(きゅうかくじょう)

 / 奈良県 

平安時代 9世紀/弘仁4 813
紙本 楮紙 墨書 掛幅
縦29.3 横55.2
1幅
青蓮院(京都)伝来、原富太郎旧蔵
国宝

 最澄(伝教大師、767~822)が高雄山寺(今の神護寺)の空海のもとにいた愛弟子の泰範に宛てた書状。現存する唯一の最澄自筆書状で、「久隔清音(久しく御無沙汰を)」と書き出しているところから、「久隔帖」と呼ばれて名高い。内容は、先に空海から送られた詩の序のなかに知らない書物の名があり、唱和する詩を作るために、その図儀や大意を空海に聞いて知らせてほしい、というものである。
 時に最澄は47歳。文中、空海を指す「大阿闍梨」の箇所で行を改めるなど、7歳年下の空海に対して礼を尽くしている。
 この書状は、最澄と空海との親しい交わりを示すと共に、最澄の真摯な人柄と恭謙な心情をうかがわせる。文字は清澄で格調が高い。
 「久隔帖」は江戸時代には青蓮院に伝えられており、多和文庫(香川県大川郡志度町の多和神社)を経て、美術品の蒐集家として知られる原三渓(1866~1939)が所有していた時期もあった。

奈良国立博物館の名宝─一世紀の軌跡. 奈良国立博物館, 1997, p.308, no.140.

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