木造阿弥陀如来立像
もくぞうあみだにょらいりゅうぞう
概要
本像は,常称寺本堂本尊である。常称寺は,時宗二代他阿真教上人(1237~1319)によって鎌倉時代後期に創建された寺院で,本堂は室町時代中期(14世紀末~15世紀前)に建築された数少ない時宗建築であり,殊に盛期の時宗本堂の特徴を有するとして重要文化財に指定されている。
本像を安置する本堂内の須弥壇には「貞治5(1366)年」の墨書銘が見られ,本像の制作時期も同じ頃の南北朝時代作の優作として,昭和61(1986)年に尾道市重要文化財となった。その後,近年見つかった大正10(1921)年の記録において,本像の足枘に「正平2(1347)年7月7日美作仏師法橋宗擔ノ作」との銘文がかつてあったことが確認され(正中を正平と誤読),制作時期を考える上で貴重な記録として注目されていた。
平成24年度に行われた保存修理により,足枘に①制作年次:正中2(1325)年4月15日に造像が始められ,同年7月7日に完成,②制作者:仏師美作法橋宗擔(担),③発願者等:大檀那教阿弥陀佛,願主方一房・藤原氏女・覚阿弥陀仏などの名,④結縁交名:性阿弥陀仏,珠阿弥陀仏など51名の仏名,以上の墨書銘が確認された。更に,像底には天保期(1830~44)の墨書銘が確認され,修理銘ではないかと考えられる。