後撰和歌集巻第十断簡〈(白河切) /(人しらす あまのとを)〉
ごせんわかしゅうまきのだいじゅうだんかん〈(しらかわぎれ)/(ひとしらず あまのとを)〉
概要
本作品は「白河切」と呼ばれる古筆切で、『後撰和歌集』の断簡である。
伝称筆者は西行(1118~1190)である。本文は古本系統『後撰和歌集』巻第十恋二のうちの二首に該当する。もとは冊子本で、半葉一〇行に書写されたものであったが、前一行、後二行を擦り消し、現状は七行を残す。おそらく掛幅装に仕立てられるに際して、鑑賞美を重視して擦り消しが行われたものと思われる。書風はのびやかで、行末は速く書き流し、やや左に傾斜する。
本作品は、名筆の一つとして書道史上に重要である。また、伝本の少ない古本系統『後撰和歌集』の平安時代後期の書写になる古写本として国文学上にも価値がある。