成合春日神社伝来馬具
なりあいかすがじんじゃでんらいばぐ
概要
成合春日神社伝来馬具
なりあいかすがじんじゃでんらいばぐ
工芸品 / 鎌倉 / 南北朝 / 室町 / 安土・桃山 / 江戸 / 近畿 / 大阪府
大阪府
鎌倉時代後期~江戸時代/1288~1679
①-1 金銅覆輪螺鈿鞍:前輪と後輪は木製、表面は平滑仕上げ。外側は周縁を縁取りするようなかたちで素地を造りだし、金銅製の覆輪を被せる。爪先には猪の目透かし入りの金銅金具を嵌めている。両輪の外側は黒漆塗地に細かな貝殻片の螺鈿をしきつめ、内側は朱漆塗。両輪には海とよばれる段差が無く、前輪には切り欠きである手形が無い。居木は木製の二枚居木。外側を朱漆塗とし居木先には前輪・後輪と同様の螺鈿を施す。朱漆塗は近年の塗り直し。 ①-2 巴花紋螺鈿鐙:舌長鐙形式。鉄芯に木板を張っている。表側は全体に渡って黒漆地に螺鈿の、巴紋・花文を随所に散らし、その間に細かな貝殻片を敷きつめている。踏込(内側)板敷で朱漆を塗る。紋板には雁木状の透かしが連続し母衣付穴は設けていない。 ② 朱黒漆上り藤紋蒔絵軍陣鞍:全て木製。前輪後輪の外側は海とよばれる段差をもうけ、周縁を縁取りするようなかたちで素地を造りだし、覆輪風に表現している。周縁及び磯は黒漆塗。海は朱漆塗として中央に成合春日神社の紋である藤紋を金蒔絵で表している。前輪には手形をもうけ、居木は黒漆塗。 ③ 黒漆双龍に違い鷹羽紋蒔絵水干鞍:全て木製。前輪・後輪には海とよばれる段差がない海無鞍である。前輪側面には手形をもうける。外側と内側の全体を黒漆塗にし、前輪・後輪には中央に丸に違い鷹羽紋を、紋をはさんで向かい合う双龍を金蒔絵で表す。 ④ 黒漆片喰紋蒔絵水干鞍:全て木製。前輪・後輪の外側に海とよばれる段差がある海有鞍である。前輪側面には手形をもうける。外側と内側の全体を黒漆塗にし、前輪・後輪の中央に片喰紋を金蒔絵で表す。
①-1金銅覆輪螺鈿鞍:高31.7 長41.5 幅43.1 ①-2巴花紋螺鈿鐙:高27.5 長28.5 幅14.6 ②朱黒漆上り藤紋蒔絵軍陣鞍:高32.3 長32.5 幅37.7 ③黒漆双龍に違鷹羽紋蒔絵水干鞍:高32.5 長37.2 幅38.1 ④黒漆片喰紋蒔絵水干鞍:高29.7 長37.5 幅38.2
単位は全てcm
4件5点
高槻市成合北の町1310
高槻市指定
指定年月日:20140801
有形文化財(美術工芸品)
金銅覆輪螺鈿鞍は、居木の幅が広く、前輪・後輪の周囲に金銅製の覆輪をめぐらすなど、平安時代後期から鎌倉時代にかけて製作された鞍の特徴を有している。巴花文螺鈿鐙は、鞍とは製作年代が異なるものの、精巧な螺鈿を施した優品であると共に、鞍と一具として伝来していることが評価できる。他に室町時代に製作され、江戸時代に蒔絵を塗り直して奉納された1背や、江戸時代前期の鞍打師の花押を有する2背が伝わる。