線彫閻魔王坐像
せんぼりえんまおうざぞう
概要
大きな自然石の側面に、太い眉をつり上げ、眼玉をむき出してにらみつけ、大きく口を開けたユーモラスな閻魔王の姿が、線彫りで刻み込まれている。「天正二年七月吉日甲戌 本願 越前住經聖」の陰刻があり、安土桃山時代に、越前(福井県)の僧が、若澤寺へ巡拝の際に建てたものと思われる。元は十王堂にあり、地獄行きを逃れ、生前に善業を積もうとする十王信仰の対象であろう。この阿弥陀堂や仁王門の周辺には、同じ頃建立された紀州(和歌山県)や備前(岡山県)などの僧による供養碑も見られる。