文化遺産オンライン

野趣二題(枝間の歌・池中の舞)

概要

野趣二題(枝間の歌・池中の舞)

日本画

石井林響  (1884-1930)

イシイ、リンキョウ

昭和2年/1927

墨画淡彩・紙本・軸・双幅

各238.7×69.5

「枝間の歌」右上に落款、印章; 「池中の舞」左上に落款、印章

8回帝展 東京府美術館 1927

16
野趣二題(枝間の歌・池中の舞)
Two rura1 scenes(Songs among branches; Dances in a pond)
1927(昭和2)年
紙本彩色、軸(双幅) 各238.7×69.5cm
co1or on paper, a pair of hanging scro1ls
第8回帝展
左右の描法は対照的である。〈枝間の歌〉では、こまかい点を散りばめて鋭い線を縦横に走らせることによって垂直の木立が。〈池中の舞〉では薄墨の濃淡によって水平の池面が、縦長の画面いっぱいに描かれている。樹木の高低、池面の遠近にかかわりなく画面全体は均質的で、あたかも任意に切りとられた自然のふところ深く、小さな生き物たちの別天地をかいま見るかのようだ。
晩年ますます南画的文人画の世界に傾倒した石井林響は、東京を引き払って千葉の片田舎に移り住んだことについて、「自然を描く前に先づ自然に親しむ」ためと語っていたという。しかしこの作品には、ある全体的な自然をはるかに達観する精神主義も、自然の一部と集中的に対峙する精神主義も見られない。自然の細部にまんべんなく注がれたまなざしといい、そうして見いだされた小動物たちと無心に遊ぶ心境といい、そこには、一概に中国伝来の文人画的伝統に帰することのできない、自然への没入と、自然との交感があるようだ。

野趣二題(枝間の歌・池中の舞)をもっと見る

石井林響をもっと見る

東京国立近代美術館をもっと見る

キーワード

/ / /

関連作品

チェックした関連作品の検索